人生のタイミング:心のドアが開くとき。

人の心が開く時はいつか

「全館無料開放」。新しくオープンした施設などは、宣伝の意味も込めて、料金を取らずに無料開放ということがある。今回は、人生において、心が開くときはいつか、である。

人脈作りは成功の鍵

人生を生きる上での「資源」(時間・金・人脈・気力・体力)の一つである「人脈」。海外留学の一つのモチベーションは「人脈」であったりする。実際に、大学側も学生の「ネットワーキング」を積極的に応援している。

人脈作りに適当な「場所」と「タイミング」

しかし、「人脈」作りには適当な場所とタイミングがある。場所は、その目的に近く、かつ、自分との適度な共通点と相違点を持つ人脈が集まるところだろう。例えば、金融業界で働く上での人脈を築きたいという人にとっては、金融に関心のある人脈ことは必要だろう。共通点は、親近感なり共通の話題につながり、関係を深めるきっかけになる(例えば、出身大学や共通の友人など)。他方で、全く同じような人間では人脈の価値は薄まる。多少違う人間である方が、あとあとお互い力になる確率は高まる。

次に、タイミングである。金融業界で新しいビジネスを始めようとしているあなたの前に、金融に関心をもち、同じ大学出身、ただし、自分と違ってより金融規制に近い世界に身を置く人間がいるとする。間違いなく重要な「人脈」になりうる人物だ(自分より10歳上で人脈も視点も自分にないものを持っているならなおいい)ただ、その人との出会いが、電車でたまたま隣り合わせただけだったら。もう少しましな例で、業界の会合で同席した場合、但し、多くの取り巻きに囲まれている場面だとしたら。答えは控えめに言ってもNOだ。

新しい環境は、「いい人」をうむ

しかし、例えば、同じマンションに入居してきた時だったら。初級中国語のクラスに一人参加して隣に座った時だったら。おそらくタイミングとしてはずっといいだろう。というのも、人間というのは、新しい環境に置かれると自然と「インプット」を受け入れるくせがついているし、新しい「インプット」優勢下で、無意識のストレスを解消する術として、完全アウェーの状況を打開するため、たわいもない会話を許容する「いい人」になる傾向にある。

大学の入学式を思い出して欲しい。そこで隣に座ったとびきりの美人に話しかけたら、きっと相手をしてくれる(少なくとも、彼女の席の反対側にとびきりジョークのうまい奴が座るまでは)。就職の面接会場で隣に座った素敵な彼は、同じ大学出身というだけで、きっと優しい(大学2年生のキャンパスで会っても振り向きもしなかったかもしれない)。これはひとえに、人間が慣れないストレス環境で、本能的に対処した結果だ。

魔法の時間は終わる

しかし幸せな時間は続かない。もしあなたが、不幸にも合格発表に浮かれるあまり階段から転げ落ちて、4月をまるまる棒に振ったとしたら。桜も散って、新入生がそれぞれ入る部活やサークルが決まってしまった5月になって、友達を探そうとしても、きっと門はすでに閉じている。あなた以外の新入生は、今後4年間キャンパスで平穏に暮らすために必要な数名の友人をすでに確保しているのだ。あなたの退屈な話に付き合う必要なもはやない。

ここで言いたいことは一つ。ストレスを感じる大きな変化の時期には、あなたの周りもあなた同様のストレスを感じている。そして、それは彼らが心のドアを開いているタイイングなのだ。話し掛けよう。入学式で。就活会場で。留学オリエンテーションで。話しかけただけで、あなたには相手を振り向かせるだけの価値があるのだ。