人生を生きるアスリートとしてのメンテ③:インプットとアウトプット

「インプット」と「アウトプット」のバランス

気力・体力を保つ上で、必要なのは、睡眠と栄養に加えて、「運動・発散」という話を書いた。これは社会人1年目の時に気づいたことだが、今ではもう少し広く捉えている。最近は、「アウトプット」こそ大事という本をちらちら目にするが、今回は、人生を生きる上での「インプット」と「アウトプット」のバランスについて書きたい。

「インプット」が加工・変換されて「アウトプット」に

まず、「インプット」とは何か。それは、知識なり情報なりを自らに組み入れいく行為全体を指す。授業しかり指導しかり読書しかり。動作で言えば、聞く・読む。「アウトプット」とは「インプット」した情報を自分の中で加工・変換して外に吐き出す行為。出し手としての授業、指導、執筆。プレゼンからおしゃべりまで。ブログやツイッターもそう。動作で言えば、書く・話す。少し広く捉えれば、「表現する」。必ずしも口を動かす必要はなく、外部に対してなんらかの影響を与えるものを全て「アウトプット」と捉えることも可能だ。

人生の時期によって変わる「インプット」と「アウトプット」のバランス

その上で、人生には、「インプット」が多い時期と「アウトプット」が多い時期がある。まず、生まれてすぐは、圧倒的に吸収がメインだ。次第に、言語を発するようになるがまだまだ「インプット」優勢だ。次第に話し言葉や文字も覚えて「アウトプット」が質量ともに増えてくる。しかし、この時期は同時に「インプット」が爆発的に増えてくるので「インプット」優勢だ。

新しい環境では「インプット」が優勢に

人生の前半期は、「インプット」優勢が続くわけだが、実は人間は新しい環境に入ると「インプット」が爆発的に増える傾向にある。生まれたて、入学後、移住後、就職後しかり。当たり前といえば当たり前で、新しい情報を消化するのには時間がかかるのだ。

「インプット」優勢がストレスを生む

新環境では、当面「インプット」が続くわけだが、新しい環境で強いストレスを感じたことがないだろうか。急に日記を書き出したり(多くの場合、新品を買って、3ページ以降は永遠に使われない)、たわいもない会話を出来る友人ができて気が休まったり。これらは、実は「インプット」優勢期のストレスの表れではないだろうか。

人は新環境で「インプット」優勢期を経験するが、「インプット」優勢は、多くの人にストレスをもたらす。人間は、常に「インプット」と「アウトプット」のバランスを保ちたい生き物なのだ。マズローの承認欲求を、私は、「インプット」に見合った「アウトプット」への欲求と読み替えている。SNSの隆盛は、その一つ。

大事なのは「インプット」に見合う「アウトプット」の量と質

社会人でも若いうちは中身がないから「当たり前」と受け入れられても、次第に「インプット」優勢が続くとしんどいものだ。皆さんは、「インプット」したものを「アウトプット」する機会をバランスよく持てているだろうか。まずは、回数と分量として持っているかどうか。そのあとは、次第にその質も重要になってくる。「アウトプット」が多くの人に影響しているか、ポジティブなものか、自分にとって価値あるものと関係しているかといったものが「アウトプット」の質を決める。

仮に今の職場(・家庭)に、十分な「アウトプット」の場がないならば、兼業・副業(収入の有無はここでは本質的ではない)や課外活動でそれを持ってみるということもいいかもしれない。